超音波ガイド下星状神経節ブロック

2017.01.31[カテゴリー:

超音波ガイド下星状神経節ブロック

星状神経節ブロックとは、頚部の交感神経節である星状神経節およびその周囲に局所麻酔薬を注入することでその中に含まれる星状神経節および頚部交感神経幹、交感神経の節前・節後遮断する手技です。支配領域である頭頚部、顔面、上肢、上胸部に効果をもたらし、それらの部位の有痛性疾患および末梢循環障害などに有効です。その作用機序には、内分泌系、免疫系の関与も考えられており、下記に示すような数多くの疾患、症状に効果があるとされています。

全身:
風邪とその予防、自律神経失調症、本能性高・低血圧症、
甲状腺機能低亢進・低下症、拒食症、過食症、起立性調節障害、乗り物酔い、立ちくらみ、パニック障害、不眠症、過眠症、
脳卒中後痛、脳卒中後片麻痺、関節リウマチ、術後合併症、
多発性硬化症、ベーチェット病、シェーグレン症候群、
重症筋無力症、痛風、伝染性単核球症、慢性疲労症候群、
反射性交感神経性萎縮症、カウザルギー、幻肢痛、断端痛、癌、糖尿病、冷え性、肥満症、低体温症、再生不良性貧血、
骨粗鬆症、吃逆、化学物質過敏症

皮膚科:
全身多汗症、掌蹠多汗症、乏汗症、ざ瘡、アトピー性皮膚炎、
蕁麻疹、全身性白癬症、足白癬、爪白癬、皮膚掻痒症、
脂漏性皮膚炎、掌蹠膿胞症、帯状疱疹、単純疱疹、天疱疹、
ケロイド、脱毛症、凍傷、爪甲剥離症、爪甲軟化症、
爪甲縦裂症、爪囲炎、腋臭症、進行性指掌角化症、あかぎれ

頭部:
片頭痛、緊張型頭痛、頚性頭痛、群発頭痛、側頭動脈炎、
脳血管攣縮、脳血栓、脳梗塞

眼科:
網膜血管閉塞症、網膜色素変性症、中心性網膜症、ぶどう膜炎、
類嚢胞黄班浮腫、角膜ヘルペス、角膜潰瘍、緑内障、
アレルギー性結膜炎、瞳孔緊張症、飛蚊症、眼精疲労、
ドライアイ、VDT症候群、屈折異常

耳鼻科:
アレルギー性鼻炎、血管運動性鼻炎、鼻茸症、慢性副鼻腔炎、
急性副鼻腔炎、術後性上顎嚢胞、突発性難聴、浸出性中耳炎、
メニエール病、良性発作性頭位眩暈、鼻閉、扁桃炎、耳鳴、
咽喉頭異常感症、嗅覚障害、いびき、睡眠時無呼吸症候群

口腔:
抜糸後痛、舌痛症、口内炎、舌炎、歯肉炎、口唇炎、歯ぎしり、口内乾燥症

頚肩上肢:
上肢血行障害(レイノー病、レイノー症候群、急性動脈閉塞症、バージャー病)、肩手症候群、頚肩腕症候群、椎間板ヘルニア、外傷性頚部症候群、胸郭出口症候群、肩関節周囲炎、
乳房切断後症候群、テニス肘、腱鞘炎、頚椎炎、ガングリオン、腕神経ニューロパチー(外傷性、術後)、関節炎、肩こり、
ヘベルデン結節痛

循環器:
心筋梗塞、狭心症、洞性頻脈、神経循環無力症

呼吸器:
慢性気管支炎、肺栓塞、肺水腫、肺気腫、過換気症候群、
気管支喘息、自然気胸

消化器:
過敏性腸症候群、潰瘍性大腸炎、胃炎、肝炎、クローン病、
消化性潰瘍、逆流性食道炎、胆道ジスキネジー、便秘、下痢、
腹部緊満症、ダンピング症候群、痔核、裂肛

産婦人科:
月経異常、月経前緊張症、月経困難症、子宮内膜症、
更年期障害、子宮摘出後自律神経失調症、尿失禁、膀胱炎、
女性不妊、妊娠悪阻、膣痙

泌尿器科:
神経性頻尿、インポテンス、尿失禁、夜尿症、腎盂腎炎、
ネフローゼ症候群、IgA腎症、嚢胞腎、遊走腎、前立腺肥大症、前立腺症、男性不妊

腰下肢:
腰下肢痛、膝関節痛、肢端紅痛症、肢端紫藍症、鶏眼、
下肢静脈瘤、こむら返り、バージャー病、閉塞性動脈硬化症

(「ペインクリニック診断・治療ガイド」第2版から)

このように様々な効果があるためペインクリニックで行われているブロックのうち60%を占め、当院でも平成28年にはのべ1054件の星状神経節ブロックが行われました。
従来行われている骨や血管を指で触知しながら行うランドマーク法では頭頚部と上肢の遮断効果が一定せず、反回神経麻痺による嗄声、腕神経叢ブロックなどの軽微な合併症から、脊髄くも膜下ブロック、後咽頭血腫による気道閉塞、局所麻酔中毒、気管損傷、食道損傷、気胸などの重篤な合併症まで報告されています。
このような星状神経節ブロックの効果の不確実性や合併症は、ブロック針の針先と頚部の重要構造物との正確な位置関係が分からないことに起因しているとされています。
最近では超音波画像で針先の位置や局所麻酔薬の拡がりをリアルタイムに評価することでより安全かつ確実に星状神経節ブロックを行うことができるようになってきています。
超音波ガイド下の星状神経節ブロックにはマイクロコンベックスプローブを用いた前方アプローチとリニアプローブを用いた側方アプローチがあります。
前方アプローチは従来のランドマーク法と手技が類似しており、手技的に習得しやすいのですが、側方アプローチで用いられるリニアプローブはマイクロコンベックスプローブに比べ解像度が良く、画像のゆがみがなく、超音波ガイド下の頚部神経根ブロックと同じ手技となるため、当院では側方アプローチを行なっています。

SGB静止画注釈

一覧へ戻る
ページトップへ